久坂部羊さんの本の中に書いてあった、女優 イングリット・バークマンの言葉、
「年を取るのは、山を登るようなもの。息は切れるけど、景色はずっといい。」
なんだか、とても深く心に染みわたってきました。
久坂部羊さんの小説によく出てくる「末期の眼」。
人間は、死を意識した時に、いろいろなものが鮮やかに輝いて見える。
そして、死を意識した人の近くにいる人も、「末期の眼」を共有し、いろいろなものが鮮やかに輝いて見える。
「年を取る」ということは「末期の眼」を持つようになることなのだと思う。
五十知命、まだまだ人生達観には程遠い。
ただ、人生半世紀も生きていると、
今まで当たり前と感じていたものが、ありがたく感じることが増えてきた。
朝の太陽。
鍋の湯気。
暖かいソックス。
子ども達の笑い声。
朝、元気に家族みんなが家を出れるということ。
職場でパソコンを立ち上げ仕事をする日常。
年を重ねると、体力も低下して、
若い時のように持久力もなくなるし、息も切れる。
でも、人間の命はある日突然、何の前触れもなく終了することがあるということを
自覚した時、
それらすべてが、決して当たり前のことではない、ということを
身をもって理解する。
有限を意識するから、日常は、輝いて見えるのかもしれない。
だから、今日もいろんなものに感謝して生きていこう、
そう思う五十知命なのでした。